「生まれて初めての富士登山」

兵庫県明石市 石崎 坦   (写真:第一日目 吉田口五合目より富士山を望む) 


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(写真:7合目から見たご来光)


☆ 富士登山挑戦の動機    

   独身時代、山に出かけ自然を楽しむのが好きでした。それは本格的な登山ではなく、夏山中心の今でいうハイキングの健脚コース程度のものでした。その頃、私は「いつの日か日本一の富士山に登りたい」と思っていました。
   仕事中心の生活から離れ、大幅に増えた自由時間の使い方を考えている時、その独身時代の念願を思い出しました。今年63歳です。還暦を過ぎた頃から、体力の衰えを感じていた私にとって、今が残された最後のチャンスかもと考え登山を決意しました。


☆ 念願の富士登山を終えて

帰りのバスの車窓から富士山が見えた時、「あの雲の上の頂上まで行ってきたのだ」という満足感でいっぱいでした。しかも初めての挑戦で、幸運にも二度もご来光を見ることができました。山頂にたどりついたときの喜び、そして、ご来光を拝んだときの感動は私の一生の良き思い出となり、自慢となるでしょう。
ツアーの参加者に小5の女子と小3の男子の兄弟がいました。男の子は八合目付近で高山病の症状がでて、グループから離脱しましたが、女の子は高山病の症状に苦しみながらも登頂し、無事下山しました。富士山はプランさえ選べば子供や私のような高年者でも登頂ができることが実証されました。
富士山はなんと言っても日本一の山です。素晴らしい感動を与えてくれます。あなたも来夏に計画されてはいかがでしょう?以下の登山記が、初めて富士山登山を計画される中高年の方々に少しでも参考になればと思います。



<富士登山記>

☆ 代表的富士登山プランと私のプラン

  代表的な山頂制覇のプランを下記に示します。
富士山は日本一高い山(標高3776m)です。最近山歩きをしていない私の年齢と体力を考えると、いきなり3000m以上の山への挑戦に不安を覚えました。ツアープランをいろいろ検討した結果、“山小屋二泊ゆっくり富士登山三日間”のツアーが私に適していると思い申し込みました。

  ○ 日帰り登山

    早朝、五合目を出発し、夕方までに五合目に戻るプラン

  ○ 夜間登山

    「ご来光」を目的とした最短のプランで、夕方五合目を出発し、七合目か八合目で休憩し、深夜に山小屋を出発し、ご来光を仰ぎ、翌日中に五合目に戻る

  ○ 一泊登山

    昼、五合目を出発し七合目か八合目の山小屋で宿泊、深夜に山小屋を出発して、ご来光を待ち、翌日中に五合目まで戻る

  ○ 二泊登山

    山小屋で二泊するゆっくり登山プラン。体力に自信のある者は頂上でお鉢めぐりも可能で、登頂率が高く、運がよければご来光を二度楽しめる。


☆ 登山に備えて

若い頃、あちこち山歩きを楽しんではいたが、最近の車ばかりの生活で足腰が弱ってきた私にとって不安がいっぱい。そこで、毎日40分前後のウオーキングを日課とし、更に出発前2ヶ月間で10km前後のハイキングに4回参加し、足腰を鍛え、心肺機能を高める努力をしました。


☆ 第一日目(7/30)

 ○ 神戸を8:00出発(バス)して、16時頃、吉田口五合目(標高2305m)に到着。
    
 ○ ツアー参加者45人中、男性は以外にも1/3弱と少数派。昔、登山は主として男性のスポーツであったはず。こんなところでも、女性パワーに圧倒されている現実を見せ付けられ驚く。

 ○ 早目の夕食を済ませ、各々登山の準備を行い、登山ガイドの注意事項を聞き、準備運動をした後、18:00頃登山開始、七合目の小屋をめざす。

 ○ 初めての富士登山という“すがすがしい緊張感と不安”を感じながら、ジグザグ道をゆっくりと登っていく。約1時間上った頃、薄暗くなり、私達はヘッドランプを装着。初めて経験する夜間登山だ。星がきれい。気分爽快。

 ○ 上を見ると“目指す七合目の山小屋”の明かりが見えてきた。上を見てもいっこうに近づかないが、下を見ると山麓の明かりが見え、もうこんなに高い所にきたのかと嬉しくなる。登山ガイドが参加者のレベルを考慮して、適切なペースで先導してくれる。予想していたほどの疲れはない。スタート時に抱いていた不安感はもうすっかり消えていた。

 ○ 20:00過ぎようやく七合目の山小屋(標高2700m)に到着
   夕食を済ませてからの2時間の登山のため空腹で眠れそうにない。サービスエリアで買っていたパンを食べた後、眠りにつく。
   23:00過ぎ、人の動き・声で目が覚める。夕方小屋について、仮眠していた人たちが出発するのだ。夜間登山して、山頂でご来光を見る一泊登山の人達だ。
   小屋の外に出ると、星空がきれい。明日はご来光を見ることができそう。


<日常生活と隔絶した想像を絶する世界:富士山>

  @ 水がない
    山では沢、滝、湧き水などが登山者に潤いを与えてくれるのが普通であるが、富士山にはそれは一切ない。富士山は岩場を除いて、山頂まで砂礫と溶岩でできていて、雨水も透過してしまい保水されない。このため植物も育たない。富士山では水はたいへん貴重である。
    山小屋には洗面所がなく、朝起きても顔を洗うところもその水もない。歯を磨く道具を持参していてもそのための水がない。どうしてもそれをしたい人は持参した飲料水を利用するしかない。しかし、飲料水は登山に欠かせないものでむやみに使うことができない。飲料水は山小屋や山頂でも売っているが500ccのペットボトルで500〜600円と高価である。
    トイレの手洗い用の水も手を湿らす程度水しか利用できない。

  Aトイレは有料
    今日では環境問題からバイオトイレの設置が進み、利用するには使用料100円/1回が必要である。(山頂にあるトイレは200円/1回)山小屋に宿泊する場合はそのトイレは一回の使用料で何回も利用できる。

  B山小屋で販売されている物の価格(参考)
   
   ・バナナ 1本200円     ・500ccのペットボトルで500〜600円
   ・カップヌードル500円    ・おでん650円           など



☆ 第二日目(7/31)

○ 4:00頃 起床 出発準備を行う

 ○ 4:50頃 ご来光に感動!    
    注:吉田口ルートでは頂上からでなくても七・八合目からもご来光が見られる
   「今年は天候不順で、山開き後ご来光が見られた日は数日で、今年最高のご来光。」と小屋の主の話。三度目の富士登山で今回始めてご来光を見ることができたとの参加者の話を聞いて、その感動は一層深まった。




○ 朝食後、6:00 七合目小屋(標高2700m)出発。今日宿泊予定の八合目小屋(標高3100m)を目指す。              

(写真:七合目付近から望む早朝の雲海)
(写真:岩場を登る)

 ○ 八合目小屋(標高3100m)で休憩、昼食の弁当を受け取り、山頂に向け出発

 ○ 山小屋の人が「時間的にはちょうどここで五合目から山頂までの半分」との声。これからが富士登山。「八合目」3100m、「本八合目」3200m、「八合五勺」3250m・・・いつまでたっても八合目だ。

 ○ 小学生兄弟、これまで頑張ってきたが、高山病の症状が見られ、特に症状のひどい小3の男の子は添乗員の説得でグループから離脱。


<高山病の症状とは>

   頭痛、耳鳴り、吐き気、眠気、脱力感、顔手足のむくみなど酸欠のために起こる。気圧は高度約2300mの5合目で平地の3/4、3000m以上になると平地の1/3近くになるという。症状が出て登り続けた場合、回復する可能性はなく、治療は下に下りることだけ。高山病は誰でもかかる可能性があり、睡眠不足は良くないといわれる。特に子供の場合、早めに高山病の症状がでると云われる。

 ○ 急勾配の上りがいつまでも続く。頂上近くになった頃、膝の関節に若干の痛みを感じるようになった。膝に負担がかかる下山のことを考えて、山頂についてからの“お鉢めぐり”は断念することにした

 ○ 12:00過ぎ富士山頂に到着、昼食をとる
(写真:山頂より)

<山小屋で渡されたお弁当>
      二日目の昼:赤飯*とアンパン1個にお茶(ペットボトル)
      三日目の朝:釜飯*とカロリーメイト2本にお茶
          * レトルト食品:小屋で熱湯処理をして食べられるようにしたもの
      小食である私にとっても、量・カロリー共不足。日頃の身体への貯えが必要
   
 ○ 13:00頃 下山開始
   山頂からの下りは上りと異なり、砂礫の広い道。足を踏む度に砂埃が舞い上がる。それが顔面に付着し、気持ち悪い。タオルで口を覆いながら下山を続ける。膝関節の痛みが徐々に増す。
 ○ 15:00前 八合目山小屋(標高3100m)に到着
 軽い頭痛。これが高山病に症状? 疲労を感じる。
空腹に耐えられず、持参のドリンク剤とカロリーメイトでエネルギー補給を行い、横になり、夕食時間が来るのを待つ。









☆ 第三日目(8/1)
○ 4:30 朝食弁当を受け取り八合目山小屋(標高3100m)出発下山開始
 ○ 4:50 頃 標高3000m付近で二度目のご来光をみることができた
(写真:二度目のご来光)

○ 下山するにつれて、頭痛も解消し、疲れきった様子だった二人の子供たちも元気を取り戻してきた。

○ 六合目付近から各種高山植物が疲れた身体を癒してくれる。
   8:30頃 スタート地点五合目に無事到着
(写真:オンタデ)
          (写真: オノエイタヤド)
  ○ これから初めての富士山を計画される方に
   ・ 自分の体力、脚力を過信しないで、日頃よりトレーニングを行い、体力、脚力の維持を努め、体調を整える。
・ 荷物は徹底して軽くする(不要なものは持っていかない)
     必要なものは軽くてかさばらないものとする
・ 高山の天候は夏と言え、朝夕冷気を感じ、また急変しやすいため防寒用のウエアが必要です。例:薄手の防寒ウエアとウインドブレーカー
   ・ 運動靴は不可で、足首が覆われている靴(トレッキングシューズなど登山に適しているもの)を準備します。
   ・ 綿の下着はおすすめしません。最近は吸汗・速乾の下着が市販されています。
     着替えも必要。
   ・ 手袋・タオル・ヘッドランプは必需品です
   ・ 上着とズボンがセットになっている雨具は必需品です。寒いときにウインドブレーカーとして利用することもできます。(傘は役に立ちません)
   ・ 高山では電池の消耗が早く、カメラやヘッドランプの予備電池を持参する事をお勧めします。
   ・ 天気が良い時の下山道の砂埃は大変なもので、防塵マスクの持参をお勧めします。ウエットティッシュは汚れた顔や手を拭く時に役に立ちます。
   ・ 富士山での食事は量やカロリー面で期待できません。カロリーメイトや乾パンなど若干携行されることをお勧めします。

   注:ここに書いてある事は私の一度の経験によるものです。状況によっては異なる内容になることもあると思います。あくまで参考にしてください。      

 

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