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コナクリから210キロ、ここまではアカシア、パーム椰子、マンゴーのほか竹などもよく見られたが、標高450メートルという標識があり、左手の山が目線の高さに見えるようになってきた所あたりから、次第に大きな樹木の繁る山峡の道となった。 「結婚の滝が見えてきた!」 放送記者のバリー氏が大きな声を上げた。指差す方向を見れば、木の間がくれに滝が見えるのだった。 「あれは花嫁のベールの滝という。ウェディングドレスの時被るベールのように見えるところからそう言われるのだ」 というバー教授の話を聞いて私たちは車から降り、狭くて険しい岩の階段を上って滝の全景がよく見えるところまで行ってみた。滝の水は岩に添って流れているのではなく、高い断層崖から布を垂らすように落ちていた。幾条かの縦縞を織り交ぜた白いレースのように、まさに花嫁のベールを思わせる優雅な感じで、太陽の光に輝きながら滝壷に溶け込んでいた。 「まあ、きれい……」「本当に素敵ね……」 しばらく、思いおもいに私たちがカメラに収めるのを、バリー氏は満足気に眺めていた。
フータ・ジャロンの高原地帯を行くと、道端でさつま芋?や野菜、ヨーグルト、素朴な模様を描いた木の椅子など売っている人々がいた。農業や牧畜を営む人々の集落のようである。 「いま、バー教授はここの人とフラ語で挨拶していましたよ」 S氏のいうところによると、バー氏はフラ語、スースー語、マリンケ語など3つの言葉が自由にできると言う。そのためにダボ氏が特に頼んで来てもらったのだそうである。
土埃が沿道の木々を赤茶色に染め、私たちの車内にも容赦なく舞い込んで、白のスラックスが赤茶色となってきた。車が崖に沿った九十九折の道を登って行くうち、渓谷の間に綺麗な流れが見えはじめ、やがて切り立った岩と岩の間に大きな滝が見えて来た。 これはコンクレ川の上流にあたる「コンクレの滝」と言う。車を降りてそばまで行って見ると、大きな岩盤の上を轟々と流れる滝はなかなか豪快なものだった。水量も豊富であり、ここにダムを造ることができたらかなりの発電力があるという。だが、発電所を造るには莫大な費用を要すること、その電力を近隣では消費しきれない。など、いろいろな問題があって実現は難しいのだ、とバリー氏は慨嘆しきりである。さらに私たちに、 「このコンクレの滝と、さっきの花嫁のベ−ルの滝とどちらが魅力があると思うか」 と問いかけてきた。ギニアの観光名所としてピーアールしたいからと真剣なのだった。私たちの意見は半々くらいに分かれたが、それぞれに魅力があるという意見に、バリー氏は満足したように頷いていた。私は日本の観光名所となっている滝を思い、この山道が観光地となった場合のプラス・マイナスはどうなのだろう、自然破壊に繋がるのではないだろうか、との懸念に囚われてなんとも言えない思いであった。このコンクレ川も南西の方向に流れて、大西洋に注ぐ川だという。
昨日は海岸地帯から内陸部へと向った所で車がパンクし、修理に時間を取られたため、宿泊予定地のマムーまでいかれず、途中のキンディア泊まりになってしまった。修理の間に休憩したレストラン "マダム金"では、 S氏と旧知の人々が再開を喜び合うハプニングもあった。 朝早く、キンディアの県知事を表敬訪問してから、フータ・ジャロン高原地帯に向った。標高があがるにつれて肌寒さを覚え、慌てて上着を羽織るようであった。午後1時過ぎマムーの県庁舎に知事を訪問し、知事の私邸に案内されて昼食の招待を受けた。前もって準備されていたらしく食卓には、大きな容器に鳥肉を煮込んだものや、茹で玉子やトマトが彩りよく盛られたサラダ、フォニオ(粟)をふかしたものにかけて食べる椰子油をつかったスープなど、御馳走がたくさん並んでいた。お皿に取り分け現地の人を見習って指で食べてみたが、なかなか難しいものである。トマトはここの名産だそうで自然のままの香りが懐かしくおいしかった。
昼食後、セネガル川とガンビア川の源流を尋ねて車を走らせた。だが途中で道を尋ねた時教えられたのが、ダムへの道だったらしくダムに行き当たってしまった。そこには「サウジアラビアの援助で造られたダム」と書かれた標識が立てられていた。結局、時間がなくてセネガル川、ガンビア川ともその源流を辿ることはできなかったが、そのいずれもこの山地を水源として、北から西方向に流れ大西洋に注いでいる川であった。 標高1000〜1230メートルの高原地帯にあるダラバの町に入ると、日本のような松林が見られた。この辺一体は展望がよく、気候も爽やかなため、保養地にもなっているそうである。町の中には大きなイスラムのモスクや、サンダルを作っている皮工場などがあり、人々の表情も明るく豊かな町という感じを受けた。 フランス人シュバリエの指導によって大規模な植林が行われているといい、その苗木を育成しているシュバリエ植物園に案内された。園内を一巡しているうちに日が暮れかかり、寒さが急に肌に染みてきた。高原地帯は朝晩の温度差が激しいということで、ピタのホテルへと車は道を急いだ。 (ニジェール川源流地帯を行く 第2回/終) ┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬次回更新は9月1日(金)┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬
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